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彼女は七海に幸せになってほしい 【呪術廻戦 七海 R18】

第2章 彼女は七海に幸せになってほしい


あれから数年の月日が流れた。
かつての少年少女は、それぞれの地獄を抱えたまま「大人」と呼ばれる年齢になっていた。


五条は最強の術師として多忙を極める傍ら、一人の後輩を気にかけていた。
術師として現場に立ち続け、どこか虚脱した瞳で呪霊を祓い続けるだ。
彼女の時間は、あの灰色の卒業式から一歩も進んでいないように見えた。




都内の証券会社。
キーボードを叩く音と、電話の応対に追われる無機質な空間で、七海建人は生きていた。


『労働はクソだ』


その信念を胸に、ただ淡々と数字を処理し、呪いとは無縁の「まともな大人」としての仮面を被り続ける日々。
けれど、仕事帰りのふとした夜、自分の指先を眺めては、あの日触れた後輩の熱を思い出しては打ち消すのが、彼の隠れた習慣になっていた。
そこへ、あまりにも場違いな男が現れたのは、残業終わりのオフィス街でだった。


「やぁ!ナナミン。随分と地味な格好になっちゃって。……社畜ライフは楽しい?」


街灯の下、白髪を揺らして笑う五条悟の姿に、七海は深く、深く溜息をつく。


「……五条さん。今の私はただの一般人です。何の用ですか」
「冷たいねぇ。君が消えてから、がどれだけ寂しそうな顔してるか知ってる?」

「」という名を聞いた瞬間、七海の眉間がわずかに動いた。

「彼女なら、あなたが適当に可愛がっているのでしょう。私には関係のないことです」

「関係ない、ねぇ。……あの子、今でも君の残した熱に縛られてるよ。新しい恋もせず、君が捨てた呪いの世界で、ボロボロになりながら戦ってる」


五条は数歩近づき、低く、威圧的な声で告げた。


「君が責任取って捨てたはずの『呪い』を、あの子が一人で抱え込んでるんだよ。……それでも、知らんぷりし続けるわけ?」


七海は握りしめた鞄の手を、白くなるほど強く締めました。
あの日、彼女をこれ以上傷つけないために、遠ざけたはずだった。
彼女の未来を願って、自分だけが泥沼から逃げ出したはずだ。 


「……彼女には、私のような男は必要ない。私は彼女を傷つけた。それだけだ」

「傷つけた、ね。……傷つけたままで放り出すのが、君の言う『誠実な大人』のやり方なわけ?」


五条の言葉は、七海の胸に鋭く突き刺さった。


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