第1章 【脹相】新月
「今日は〝繋がり〟で何度も話しかけていたんだが繋がらないんだ。の気配も感じなかった」
ほぼ耳元で話しかけている状態なので、責めているように聞こえないよう脹相は静かに言った。
「あ!」
反対には大きな声が出た。
「すみませんでした。伝え忘れていたのですが、新月の日は〝繋がり〟の力が弱まるようなんです」
「そうなのか?」
「はい。関係あるかどうかわかりませんけど、海からの捕捉もされてないみたいです。だから、何だか気持ちがすごく楽になる日でもあるんです」
の声はどこか晴れ晴れしている。
普段から海の捕捉に晒されていることはかなりの負担であるらしい。
「そうか」
「心配、しましたか?」
「あぁ、に何かあったんじゃないかと気が気じゃなかった」
「そうですか…ふふっ」
「どうした?」
「いえ、150年前のことを思い出してました。私も脹相と〝繋がり〟を結んで初めての新月の日、同じように感じていたので」
「そうなのか?」
「はい。脹相は高専の結界の中だったので話しかけることもできず気配しか感じられなかったのですが、いきなりその気配も感じられなくなって。死んでしまったのではないかと気が気でなかったんです。夜が明けたら高専に行こうって思っていたらまた気配を感じるようになったのでその時は気が抜けて座り込んでしまいました」
もかつて自分に同じような心配をして、ヤキモキしてたと思うと脹相の気持ちも和んでいた。
「今日まさに俺はそんな気持ちだった」
「すみません」
「いい。無事で良かった」
「ありがとうございます」
そこで脹相はふと疑問が浮かぶ。
「ところで、新月の反対の満月にもどうにかなるのか?」
脹相の予想では〝繋がり〟の力が強まるのではないかというところだったのたが、は「あー…」と言い淀む。
「…それは、聞かないでください…」
結局は教えてもらえなかった。