第4章 【日車】有限の閃き
「パスタ、美味しかったですね」
ご希望のパスタを食べて上機嫌のはシートベルトを締めながら言った。
「そうだな」
そんなをチラリと見ると穏やかな顔で日車が返事した。
「次はカルボナーラ以外のパスタも挑戦してみます」
「そうか」
「日車さんの明太パスタも和洋折衷な感じがすごく良かったです」
「それはよかった」
当たり前のようにパスタは一口ずつシェアしている。
何の他意もなく男女間でそんなことをしない方がいいと進言しようかとも思ったが、それは人それぞれの価値観であるかと思い直してやめた。
思うことがあれば自らやめるだろう。
「高専から行ける範囲であんなお店があるなんて知りませんでした。今度、脹相とも行ってみたいです」
「…そうか」
どうにもの口から脹相の名が出ると、半拍反応が遅れてしまう。
それをはどのように思っているかはわからないが、日車の反応を見て話題を変えることが度々あった。
「そういえば日車さん、不起訴になったって聞きました」
「あぁ」
「これからどうするんですか?」
「後輩が遺族側の弁護士をしているんでな。そっちから検察審査会への申立てをしてもらうことになるだろうな」
「起訴はしてもらえそうですか?」
「まぁ、難しいだろうな」
「そのまま不起訴が確定したらどうします?」
「そうだな……人を救って贖罪でもするかな…」
「それは……そうですか…あまり無理はされないでくださいね」
も同じようなことをやっていた身である。
それをもじったのかもしれないし、本音なのかもしれない。
それはその時になってみないと日車本人もわからない。
しばらく車内に沈黙が流れる。
高専まではそんなに遠くはない。
それまでこの雰囲気で行くのかと思った。
「あ!」
突然、が声を上げる。
「どうした?」
「日車さん、コンビニに寄りませんか?」
「別に構わないが、何か買うのか?」
「はい、コンビニの駐車場でアイスを食べてみたかったんです」
の『らしくない』はまだまだ続いていたようだ。