第4章 【日車】有限の閃き
『6枚目』
「もう、本当に時間が…あ、でもこれは」
ぬいぐるみの名前をそれぞれ書き込み、アルバムを思わせる写真フレームを当てる。
「これは家族写真だからシンプルな方がいいですよね」
空いたスペースに1つだけスタンプ。
『ずっとなかよし』
(…ずっと、か…)
そして、タイムアップ。
「本当に日車さん、名前しか書かなかったですねー」
「が百面相しながら右往左往するのを見るのはなかなか面白かった」
これは本心。
「もー、次は参戦してくださいね!」
(次…)
「私は手でハートを作れるようにしておきます!あ!」
何かに気付いたが慌ててスマホを取り出す。
「プリクラって画像もくれるんですね!6枚の内から2枚選んで?え、どれにしよう…QRコードを読み込む?スマホで?」
こちらも時間制限のカウントダウンが始まっており、はまたプチパニックを起こしている。
日車は5枚目と6枚目を選択し、自分のスマホでQRコードを読み込む。
スマホを操作して難なく画像をゲットしていた。
「送るからスマホを貸せ」
連絡ツールアプリで友だち登録を済ませ、画像を送る。
鮮やかなお手並みに「日車さんって、今どきですよね」とは感心する。
「このくらいは普通だ」
「どうして5枚目と6枚目にしたんですか?」
「他のより出来が良かったからだ」
「具体的にはどんなところが?」
「…それは黙秘する」
「えー」とが口を尖らせた時にちょうどプリクラが出来上がって出てきた。
はそれを持って、「ちょっと待っててくださいね」とどこかへ行ってしまった。
取り残された日車はプリクラ機に備え付けの姿見が目に入った。
キラキラしたプリクラブースに佇むスーツの男。
なかなかにシュールだ。
(だが…)
スマホに目を落とす。
(この写真は、悪くない…)
「お待たせしました。これ、日車さんの分です」
半分に分けたプリクラシールを差し出される。
「いや、全部が持ってろ」
正直、プリクラ画像だけで満足していた。
「でも、思い出ですから」
「…わかった」
スーツの内ポケットから手帳を取り出し、折れないように丁寧に挿む。
手帳をまた内ポケットに戻せば、そこがじんわり温かいような気がした。