第4章 【日車】有限の閃き
MISSION 5『人差し指をほっぺに当ててね〜』
「これは簡単そうです!」
「…こうか」
人差し指が頬に当たっているが突き刺さるような角度になっている。
「違います!こうです!」
の指が日車の頬を優しく押す。
パシャッ!
『こんな感じに撮れたよ〜』
の指が自分と日車の頬を押している。
日車は驚いた顔をしているが表情の固さはなくなっていた。
MISSION 6『最後は自由にポーズを撮ってね〜』
「これだけ時間に束縛されたら自由も何もない」
「ぬいぐるみ達と撮りましょう!持ってください!」
大きなぬいぐるみを渡される。
日車はぬいぐるみがちゃんと入るように画面で確認する。
「日車さん、何だか家族写真みたいですね」
「…そうだな」
(随分賑やかなそうな家族だな…)
日車はフッと笑った。
パシャッ!
『こんな感じに撮れたよ〜』
は満面に笑ってる。
ぬいぐるみ達もカメラを見てる。
日車はカメラを見ていない。
ただ、柔らかく笑っていた。
「あー、日車さん、ちゃんと笑ってるのに惜しい!もう一回撮り直しますか?」
「…いい。お前が笑っている、それだけで十分だ」
「そうですかー?」と少し不満気な。
「ようやく終わったな。あとは写真受け取って…」
「まだ終わりじゃないですよ!こっちです!」
は日車の腕にガシッと腕を絡めるとグイグイ引っ張っていく。
柔らかい感触。
温もり。
強まる香り。
(…ちょっと待て、これは…!…不可抗力だ…)
自ら動けばどこにどう接触するかわからない。
日車は振り払うこともできず、成すすべもなく引きづられていった。
連れて来られたのはプリクラ機の外についている落書きスペース。
「これから200秒でプリクラに落書きをします!」
は日車にペンを渡す。
「どうやるんだ?」
「わかりません」
200秒のカウントダウンがスタートする。
「え、始まりました!えっと、まずはとりあえず名前を書きましょう!」
はひらがなで名前を書いた。
日車は達筆な文字でフルネームを書く。
「署名は済んだ。あとはに任せる」
「署名って…契約書じゃないんですから」
日車はペンを戻して完全に傍観者モードに入った。