第4章 【日車】有限の閃き
バイクから降りると、は「日車さん、次はあっちに行きましょう!」と子どもみたいに指差しながら手招きする。
今にも走り出しそうな勢いで、先程の男達のような輩もいるから離れないでほしいものだと日車は思った。
(ここで手を引いて身体的拘束をするのもな…)
「走るな。他の客とぶつかる」
軽く注意するくらいに留めておいた。
は「はーい!」と返事をして日車が来るのを待っていた。
店内をまた物色して、の「あ!」が聞こえた。
次のものが決まった瞬間だ。
「日車さん!プリクラ!プリクラ撮りましょう!」
「……」
向こうの方にプリクラ機が何台もあるのは見えていた。
こうなることも選択肢としてはありえるとも想定していた。
しかし、実際そうなると即答できない。
プリクラは日車にとって未知の領域である。
「ダメ、ですか…?」
「…ダメではない」
「嫌、ですか…?」
「…嫌でもない」
少しだけ不安そうにこちらを伺ってくる。
(これは…回避不可能だ…)
「…いいだろう」
「やったー」
嬉しさのあまりプリクラゾーンまで小走りしていくに「走るな」とだけ注意して足取り重めに後を追う。
プリクラゾーンに辿り着くと、あまりの機種の多さに圧倒される。
プリクラを撮ることが目的のはたまたま空いているプリクラ機に吸い込まれていったが、すぐに幕の間から上半身だけだして「こっちですよー!」と呼んでいる。
暗幕を潜って中に入る。
幕1枚で仕切られているだけなのに、周りの喧騒が遠くの方に感じられる。
ここの空間にはと日車、二人だけ。
(これは…なかなか、秘匿性が高いな)
そんなことを考えている間にもはお金を入れて、スタートしている。
「日車さん、この機械、どうゆうポーズ取ればいいかまで指示してくれるらしいですよ」
「それは助かるな」
「あ、始まりますよ」