第4章 【日車】有限の閃き
「…あの、日車さん」
「なんだ?」
「私も、やってみていいですか…?」
ぬいぐるみを睨みつけていた目を少し見開いてを見る。
そして、一拍遅れて「いいだろう…」と場所を開けてやる。
はクレーンゲームの周りを行ったり来たりして「うーん」と唸りながらレバーを動かす。
制限時間いっぱい使って微調整を繰り返し、降下ボタンを押した。
日車の時と同様、ぬいぐるみにアームが食い込み、持ち上げる。
しかし、違ったのはそのままアームはぬいぐるみを落とさず取出口の上まで辿り着いた。
その様子をは「わ、わ、わ!」とハラハラしながら見守り、ぬいぐるみが取出口に落ちてくると「やったー!」と言って体は跳ねていた。
「なん…だと…?」
日車は信じられないと言った顔でその様子を見ていたが、取出口からぬいぐるみを引っ張り出して嬉しそうに胸に抱くを見れば毒づく気にもなれず、「意外な才能だな」と言った。
「こっちのキャラクターは日車さんに似てるなーっていつも思っているんです」
が指差すのはクレーンゲーム内にディスプレイされている同じアニメーションの別のキャラクターのぬいぐるみ。
目つきの悪いフクロウのキャラクター。
「目つきだけじゃないか?」
「フクロウってところもぽいですよ」
「ハンティングは不得意だがな」
の抱えるぬいぐるみを見る。
「フクロウは森の賢者ですよ!これ、日車さんに取ってあげます!」
たった1回の成功で多大なる自信をつけたに現実を思い知らせようと「やってみればいい」と、店員を呼んで景品を設置してもらった。
先程取ったぬいぐるみは日車が小脇に抱えてやる。
クレーンゲームのガラスにその姿が映っている。
(まったくもって『らしくない』な)
そうこうしている間に、そちらのぬいぐるみも数回でゲットしたの歓喜の声が聞こえてきた。
「初回はビギナーズラックだが、2回連続は何と呼ぶんだ?」
「実力です!」
自信満々で言うが笑える。
「じゃあ―」
行くか、と言いかけた日車の言葉をの「中にはどんなゲームがあるんですかねー?」という言葉で遮られた。
「…見てみるか?」
「はい!」
二人は更に騒がしい店内へと入っていった。