第4章 【日車】有限の閃き
「パン、ケーキ…ですか?」
は目を丸くしていた。
「パンケーキを知らないのか?」
「いえ、パンケーキ自体は知ってます。食べたことはないですけど。でも、なんでパンケーキが『らしくない』なんですか?」
「、これは俺の『らしくない』だぞ?俺がパンケーキ食べてるところを想像してみろ」
は口に手を当てて、視線を上に向けた。
次の瞬間には、日車から顔を背けて肩を震わせた。
「、それは何の気遣いにもならない。笑うならちゃんと笑うといい」
そう言われてこちらを向いたは口元を抑えて未だに震え、涙目にまでなっていた。
(こんな表情もするのか…)
「パンケーキが俺には『らしくない』理由は3つだ。1つはもともと好んで甘い物は取らない。2つめは流行りには乗らない主義だ。行列に並ぶのも好きじゃない。そして、3つめは…並んでる行列を見ろ」
は行列の先頭から自分たち、自分たちから最後尾と目で追っていった。
行列に並ぶ日車を改めて見る。
まだわからないらしい。
「並んでる客層を分析してみろ」
ヒントを少し与えてみる。
「えっと、若い女性が多い印象ですね。ただ男性もチラホラいますよ?」
「男は全員カップルの片割れだ」
「あー、はい」
「そこに30半ばのおじさんが並ぶのは、それだけでだいぶクるんだ」
「え、30半ばはおじさんじゃないと思います」
「それはの物差しが長すぎるんだ」
そこからおじさん論議をしている内に列は進み、ようやく店内へと進む。
明るい店内、若い客層、パンケーキの甘い香り。
それだけでなんだかキラキラして見える。
席に座ると二人で一つのメニューを見る。
「どれか食べたい種類はあるか?」
「…パンケーキってこんなに種類があるんですか?こんなに多いと…んー。日車さんはどれにします?」
その後もなかなか選べないを見かねて、日車が片手をあげて店員を呼んだ。
「この人気No.1のやつを1つ。トッピング全部のせで。飲み物は…、コーヒーと紅茶、どっちだ?」
「え、あ、紅茶で」
「じゃあ、紅茶をポットで1つとコーヒー1つ。以上で」
あっという間に注文を終わらせた。
「パンケーキ、1つでいいんですか?」
「あぁ、たぶんな」