第4章 【日車】有限の閃き
「次に2つめ。今から『らしくないこと』をするわけだが、気が進まなければやらなくていい。強制されるのは意味がないからな」
「そうですね」
「以上だ。やってみたい『らしくないこと』は決まったか?」
「それはまだ思い浮かばなくて…」
「そうか。では、始めに何か食べに行くか。腹は空いてるか?」
「あ、私、あまりお腹は減らなくて…」
「何か好きなものは?」
「えっと…あまりこれというものは…」
「アイツと外食するときは何を食べている?」
「えーと、ラーメンとか、丼物とか」
「色気がないな」
日車がバッサリと切る。
「基本的には悠仁くんに教えてもらった美味しいものを私に紹介してくれる感じです」
「それなら納得だ。チョイスが男子高校生過ぎる」
(アイツとは食べに行かないようなものがいいだろうな)
日車はしばらく何やら思考していた。
そして、小さく息を吐く。
「わかった。俺が『らしくないこと』の手本を見せよう」
そう言うとそこからの日車はいつもより少し口数が少なくなった。
繁華街近くのコインパーキングに車を停めると、スマホで何かを検索する。
地図をチラリと確認すると「こっちだ」と歩き始めた。
しばらく歩くと行列に辿り着いた。
日車は何も言わずに最後尾に並ぶ。
は何の行列なのか、今から何をするのか、わからないことが多すぎて困ったようにチラチラと日車の様子を伺っている。
「…あの、日車さん。今から何をするんでしょうか?何にこんなに並んでいるんでしょうか??」
堪らずが尋ねる。
今までと目を合わせなかった日車がの方を見ると何かを諦めたように言った。
「これからパンケーキを食べる」
日車には何とも似つかわしくないワードだった。