第3章 触れた逆鱗
近付いた唇に訪れるであろう快感に身構える。だけど触れたのは、宗四郎の熱い息だけだった。見上げられて息を呑む。
「……"僕の彼女は乃愛や"って、みんなに言おか?音芽のこと、おもろないんやろ?」
「………いい。でもちょっと、知りたいかも…」
宗四郎のことが知りたい。誰よりも知っていたい。今もこれからも、今までのことも……私が知らない宗四郎を私じゃない誰かが知ってるのが嫌だ。
「何が知りたいん?音芽のこと?」
少し真面目な顔をして上がってきて、息が唇にかかる。控えめに見つめると、唇にキスが降ってくる。答えさせる気はあるのか……。
「んっ……そ、しろの…ぜんぶ……ふっ…」
「全部?汚いとこも弱いとこも、重いもんも全部てことやんな?冷静になってからでも知りたい思ったんなら、僕は逃げへん。でも今はえっちに集中してええ?」
全部なんて…夜が明けてしまうだろう。そのくらい、全部知りたい。頷くと真っ直ぐ向けられていた目が閉じられ、押し込まれた舌を受け入れた。
舌を絡ませながら胸を揉み、たまに突起を弾く指に肩を竦める。微力な電気が走ったような快感。久しぶりに触れる彼の指が熱い。唇も舌も息も、何もかもが熱くて、私の奥で燻る熱を誘発する。
上下する胸に手をつき、筋肉の熱さがお風呂の熱ではないのだと、思い込んだ。
大事にして。でも、宝物にしないで。私は、触れたら弾ける、しゃぼん玉じゃないの。あなたを愛する、強かなひとりの女__。