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海に漂う星屑のように

第5章 EXSTRA①〜Be my Valentine♪


「あ・・・ん・・・そ、そんなところ・・・かな?」
本当はぜんぜん違うけど、俺はその解釈に乗ることにした。語尾を曖昧にしつつ、俺は陽菜多を引っ張ってエレベーターホールに連れて行った。
とにかくこいつは心臓に悪い!

「ちょ、引っ張んないでよ、師月!」
「おま・・っ!」

名前呼びとかするな!

まだ何か言いたげにしている陽菜多を引きずるようにしてエレベーターに押し込む。扉が閉まり、やっと人心地した。

はあ、はあ、はあ・・・

「もう!乱暴だな・・・師月」

別に転んだわけでもないのに、陽菜多はパンパンと服の裾を払ってみせる。俺の方が生きた心地がしなかったわ!

ちーん

エレベーターが屋上階につく。
とにかく人のいないところにこいつを連れてきたかった。

屋上階のエレベーターホールを抜け、両開きの扉を開くとそこは、署の屋上だ。男子寮が併設されている署なので、屋上は洗濯物を干したりするために普通に署員に解放されていた。

「わあ・・・っ!」

陽菜多が小さく歓声を上げた。
それもそうだろう。この署は横浜みなとみらい地区を臨む立地にあり、しかも地上8階だ。その屋上ともなれば相当見晴らしもいい。

真っ暗な屋上から見るみなとみらいの街並み。商業ビル群の窓から漏れる明かり、地上を流れる車のヘッドライトやテールライト、そして、彼方に見える暗い海の上を時折過ぎる商船の灯火・・・。

「すごい・・・星みたい」

確かにそうだ。
仕事に疲れた夜なんか、よくここでタバコを吸う。
そんな時、ぼんやりこの景色を見ていると、なんだか小さいこととかどうでも良くなる気がした。

せっかくだからタバコでも・・・そう思ってポケットに手を伸ばしかけたが、目を輝かせて屋上の柵を掴んだまま街を見下ろしている陽菜多を見て、それをそっと引っ込めた。

「お前、なんか困ってるのか?」

そういえば、『困ったら来いって言ってた』とか受付で言ってたよなと思って尋ねてみた。
何かあったのだろうか?

「あ、うん・・・困ってる、困ってる」

そう言いながら、陽菜多は背負っていた小さいリュックを下ろし、その中からきれいにラッピングされ、リボンのかかった箱を出してきた。

ま・・・さか?
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