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海に漂う星屑のように

第2章 赤レンガ倉庫


☆☆☆
アップルパイ喰って、終わりか・・・と思ったが、そう簡単に陽菜多は俺を解放する気はなかったようだ。赤レンガ倉庫を下から上まで連れ回され、あちこちの店を覗くのにつきあわされた。

俺自身、仕事では何度かここを訪れたことがあったが、完全オフで、しかも目的もなしにぶらついたのはこれが初めてだった。

彼は、ショップを冷やかしながら、アクセサリーを見たり、アメカジブランドのパーカーの裾を引っ張ってみたりしている。
俺はそれに後ろからくっついて、一緒に歩いている・・・だけだった。

何がおもしれーんだ?

ヴィンテージショップで、ミルクホワイトを基調とした、かすれた風合いのボーダー柄のマフラーを手にとって眺めていた。鏡の前に持っていくと、それをくるりと巻いて、前から、横から、そして、振り返って後ろ姿をチェックしている。

今日はあったかいからいらねーんじゃねえかな?

なんて思ったが、そういや、今週末は寒くなるって予報だったよなと思いなおす。まだ、もしかしたら雪が降るかもなどと言っていたから、今シーズン使う可能性もあるかもしれない。

「これ、どう思う?」
ボケっとしていたところに唐突に言われて、一瞬何を問われてるかわからなくなる。間を置いて、やっとそれが自分にこのマフラーが似合うかを聞かれたのだと思い、『あ・・・ああ』と曖昧に返事をした。

はっきり言って、似合ってるかどうか・・・なんて俺にはわからない。

「んー?」
俺の返事が何やら気に食わなかったらしい。陽菜多が何やら眉間にシワを寄せる。

「マジメにやってよね、おにーさん!」
「おまっ・・・」

言い返そうとするが、すぐに例のあの、ニヤリとした顔に戻る。
「ほれ、ツミホロボシ」

うううっ・・・!

こいつ・・・ちょっと・・・いや、だいぶムカつくぞ!
振られた理由はこれなんじゃねえか?

そんなことを思ったが、なんとか言葉を飲み込んだ。
大人げないと思ったからだ。

「で?どう・・・これ」
くるっと目の前で回ってみせた。

「似合う・・・んじゃね?」
「どこが?」
「え?」
「だから!・・・どこが、どんなふうに、何故、似合うかって、さ」

んなこと分かるか!
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