第4章 ハネムーン?
「ここだね」
「しゃけ」
情緒溢れる温泉旅館を見据える。ここが呪いが発生する場所であり、私たちが宿泊する場所。温泉地特有の負の感情が渦巻き、硫黄の呪いへと姿を変えた。
傷を癒したくて訪れたが癒されなかった、幸せそうな観光客が羨ましい、自分の身体への劣等感…いろんなものがあるだろう。だが今回の呪いは、経験がないまま亡くなった男の人が死後、呪いに転じたそうだ。
術師が交通事故で亡くなるとは……わざわざ女湯に現れて、好き勝手しないで欲しい。死者は出ていない。女性の火傷被害が多発している。
「棘、私が温泉に入るね」
「おかか」
私が温泉に入っておびき寄せようと提案すると、即却下される。
「ツナマヨ」
「温泉だよ、どうやって……」
棘が女装して一緒に入ると言っている。裸にならなければいけないのに、どうやって女装をするつもりなのか…。
棘は温泉に入らず、タオルを巻いて入ると言っている。上手くいくかはわからないが、棘がどうしても私をひとりにさせたくないらしく、その案で夜まで待つことにした。夜が一番、出現率が高い。