第3章 結ばれる緣
両親たちと話し、近いうちに祝言を挙げることになった。「今日は泊まっていくんでしょう?」という棘のお母さんの言葉に、棘は頷く。だから、外泊だったんだ。
私の両親は帰っていき、棘の部屋でボーッと考える。棘と結婚する…じゃあ今は、恋人…?恋人の部屋で二人きりになるとはそういうこと、だよね?
ここが棘の実家で、家族がいることを忘れていた。
「しゃけ〜」
お風呂から上がってきた棘が抱きついてくる。私は先に入らせてもらっていた。お風呂上がりにつけているマスクを外し、顔を近付けてくる。これは……ぐいんっと顔を上げて躱す。恥ずかしくて出来ない。
「ご、ごめっ…!」
「高菜」
棘を傷付けたと思い、すぐに顔を戻して謝ろうとしたけど、棘は優しく笑い、"ごめん"と謝った。いつもはえっちなことを平気でしてくるくせに、確信的なことは踏み込んで来ない。
「棘、ごめん……したい」
棘の服を握って見上げた。棘は一瞬迷ったような顔をし、ゆっくり近付いてきた。重なった唇は柔らかくて温かい。棘とした初めてのキス。他の人など、知りたくもない。
唇が重なったままゆっくり倒されて、そのまましばらくキスをしていた。舌を絡めるでもなく、唇を食むのでもなく、ただ重ねているだけ。それだけで、心臓は持ちそうにない。
唇が離れて顔が熱くて…棘の顔を見ることが出来なくて、ぎゅっと抱きつき顔を埋める。せっけんの香りがした。