第2章 恋が愛に変わるまで
廊下で後ろから抱き締められたまま固まっていた。棘は好き放題している。脇腹を擽ったり、耳に息を吹きかけたり…棘は意地悪だ。
「と、棘……なんか、かたい…」
「すじこ」
棘が身体を寄せる度に、お尻に違和感があった。棘はなんなのか教えてくれなかった。でも本当はなんとなくわかっていた。
私の身体を弄り回すのに満足したのか、棘は私の手を引いて食堂に戻ろうする。
「ツナマヨ」
今更戻るのが恥ずかしくて、「行かない」と足に力を入れて踏ん張る。棘はネックウォーマーを少し下げて、舌を出した。独特な狗巻家の模様がはっきりと見えた。
まさか…呪言使って戻そうとしてる?
掴んでいた手を持ち直して、掴む位置を手首に変える。そのまま持ち上げて、口を開いた。なに…するの?その口がゆっくり指に近付いてくる。
どんどん迫ってくる口に目をぎゅっと閉じた。心臓が暴れて、これ以上は持ちそうにない。
「戻る!戻るから…それ、やめて…」
「いくら?」
「噛んじゃ、ダメ…」
"本当にやめて欲しいの?"みたいに聞かれて、まるで私が求めているみたいに思われてる。心の中を見透かされたようで、すごく恥ずかしくなった。