第8章 38℃のキス*nino*side
目の前で崩れ落ちる彼女を
俺は抱え込んだ。
「莉子 ちゃん!?
ちょっと…莉子 !!」
まさかと思い、
おでこに手をあてる。
「なんだよ…これ…」
「お客様どうされました~?
って莉子 ちゃん!?」
そこに一人のおばさん店員さんが来た。
どうしよう…。
でも、これしか…これしかない。
俺は帽子とマスクと眼鏡を外し
おばさんを見た。
「え…ニノ!!!!?
なんで、こ…ここに?!」
「あの!
この子の住所教えてくれませんか?
俺、送っていくんで!
お願いします。」
そう言うと状況がのめたのか
おばさんは奥からファイルを持ってきた。
「これ履歴書だから!
早く送ってあげて?
あ、これ冷えピタとおかゆとゼリー!
この子きっと食べてないから!」
なんて用意のいい人だ。
なんて思いながら俺は彼女を
お姫様抱っこをして車に連れていった。