第36章 あいさつ*nino*side
「……いいじゃないの」
そう口を開いたのは
意外にもお父さんだった。
お父さんはムクッと起きて
俺の目をしっかり優しく見た。
「俺だって母さんを幸せにできたかって
言うとコイツのお父さんにはとんでもないが
顔を合わせられない。
男なんてそんなもんだ。な?母さん。」
そういうとニコッと微笑むお母さん。
「莉子 だってその覚悟がなければ
和也くんと付き合わないだろ。
ちょっとヘタれな和也くんも見れたしな。
うん。こんな娘ですが…頼みますよ。」
そう微笑むお父さんの目には
涙が浮かんでいた気がする。
「はい。」
「よし、母さん!
酒をもってこーい!」
「はいはい。
わかりましたよ。ふふふっ」
莉子 …幸せになりましょう。
そう思って隣にいる莉子 の
手を握りしめた。