第26章 すれ違い
なに…えみちゃんのこと?って…。
知ってたの?
和也は知ってたの?
「莉子 はあんなの信じるの?
俺は言ったでしょ?
あなたを幸せにするって…
失うのは恐いけど…幸せにするって」
『あんなの?
あんなのだって信じるの!ウッ……ウッ
あたし普通の人間だし!
和也みたいに芸能人じゃないし、
わかんないもん!』
あぁ…もう終わった。
だって和也の顔に優しさがない。
すごく冷たい表情。
「莉子 は芸能人だけど
俺も一人の人間だ。って言いましたよね?
俺…嬉しかったんです。
いつも芸能人だから…って…
でも、莉子 も一緒だったんですね」
違うの…あたしは…
いや、違うことない。
やっぱりあたしには一枚壁があった。
『ごめん…疲れちゃった…
ごちそうさま…ちょっと…
コンビ行ってくる。』
そう言って財布を持って
外に出ていった。
もう追いかけてこないんだね。