第22章 失うということ*nino*side
ヒューとまだ春風が冷たい外
「ねぇ、いい物って?」
そうリーダーに言うと
リーダーはふふんと笑って、
俺を抱き締めた。
「勇気?元気?…ん~
強い心をあげる。」
「は?気持ち悪いですよ…
変な記事書かれたら社長に怒られますよ?」
そう言うとリーダーは
もーう。と言いながらまた
強く俺を抱き締めた。
「よく頑張ったね。」
そんな意外な言葉になぜか
ホッとしてしまった。
そして涙がでてきた。
「俺ね?ニノが走ってたの見て
すげぇって思った。
怖かったでしょ?
どうしていいのか分からなかったでしょ?」
「……ウッ……」
「……怖かったよね。ニノ…すごいよ。
でもね?恐かったのはニノだけ?
愛しいなら…失ないたくないなら…
悔いのないように…愛しなよ?
だって莉子 ちゃんは生きてるんだよ?
死んでないの。生きてるんだよ?」
「でも…俺、怖いんです…
こういう仕事だし…命とか
そういう形じゃなくても…
失うことが初めて恐くなったんです。」
そう言うと大野さんは
また抱き締める強さを倍にした。
「ニノは貪欲だよ。
生きてるのに距離をおく?
バカなの?
死んでたら離れてたら
距離なんてそんなのないの。
そんなのないんだよ?」
大野さんの言葉にハッとした。
俺は…何を考えてたんだろう。
莉子 は生きてるんだよ。
生きてる。