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【呪術廻戦】誰も知らない

第11章 【脹相】君の名


食事が出来上がる頃になると、やはり虎杖は自ら現れて配膳などの手伝いをする。
昨日より2人の距離は縮まっている。
今日のメニューが虎杖のリクエストしていた丼物であるというのも大きいのかもしれない。

「今日はおかわりもたくさんあります」

比丘尼が虎杖に微笑む。
温かい感情が流れてくる。

「脹相さんもよろしければたくさん召し上がってください」

脹相に向ける笑顔は少しぎこちないように感じる。
でも、感情は温かい。
きっと〝繋がり〟がなければわからない。

脹相は食事をとりながら考える。

(この女、150年ほど誰かと食事をとらなかったと言っていた…)

脹相たちが誕生し、封印された時期だ。
そこからずっと一人だったのだろうか。

(誰かを救うこともやめたと言っていた…)

きっと他者と関わること自体をやめたのだろう。
こんなに冷たい世の中で、ただ一人。

(封印中、寒く、寂しく、辛かった。しかし、俺には弟がいた)

比丘尼は独り、ただ脹相から流れる感情にだけ心を寄せていた。

(それは、どれほどの孤独だった?)

いや、彼女の孤独はそれ以前からだ。

(1000年生き続けるとは、どれほどの――)

比丘尼を見る。
また虎杖に微笑みかけている。
脹相は喉元がグッと締まるのを感じた。
一瞬、息が吸えない感覚に陥る。
胸が苦しくなる。
脹相の視線に気付いた比丘尼が「おかわり、召し上がりますか?」と優しい顔をする。
苦しさが一段増す。
脹相は眉を寄せて、無理やり喉をこじ開ける。

「いや、いらない」

押し出した声は少し掠れていた。

「左様ですか」

比丘尼は少しだけ寂しそうに、しかしそれでも微笑む。

(どうして、お前はそんなにも強くあれるんだ…?)

そう思いながら、残りの食事をかき込んだ。
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