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【呪術廻戦】誰も知らない

第9章 逃走と分与


なるべく遠くに逃げようとする八重に思いも寄らないことが2つ起こっていた。

1つ目は、加茂の寺を出てから呪霊が寄ってくること。
普段であれば呪霊たちは八重のことが見えないかのように何も害をなさない。
しかし、今は探るようにザワザワと近寄ってくる。

(これは私を探しているんじゃない…九相図に…?)

『ここの結界から出れば無事では済まないぞ?』という加茂の言葉を思い出す。
あれは牽制ではなかった。
術師ではない八重にはわからないが、呪霊が寄ってくる何かが九相図にはあるようだ。
ただ、呪霊たちは九相図の正確な位置まではわからないようで、常に前に進んでいれば追いつかれることはない。
要は立ち止まらず、走り続けていればいい。
不老不死のおかげで食べず、飲まず、眠らずに活動できる八重にとっては難しい話ではない。

ただここで問題になるのが2つ目の想定外。
寺から離れれば離れるほど体が重くなる。
最初は気のせいだと思った。
標本瓶を9本も抱えているのだから、疲労で重く感じることはあるだろうと。
しかし、だんだん疲労では説明できないほどになっていく。
そして悟った。
これは拒絶した代償であると。
加茂の動きを止めるために何を拒絶したのかはわからない。
だが、拒絶したものが拒絶した分だけ自分にのしかかっているのだとわかる。
足が重い。
九相図が重い。
それでも前には進まなければいけないし、九相図を落とすわけにもいかない。
もう腕では落としてしまうかもしれないので体に縛りつけた。
膝が笑うが歯を食いしばって、這ってでも前に進む。
いつか動けなくなるのか。
いつか呪霊に追いつかれてしまうのか。
代償はいつまで続くのか。
そもそも、この先どこへ行けばいいのか。
全ての先が見えない。
身体もさることながら、精神が削られる。

(どうすれば…)

その時だった。

『困ったことがあったら訪ねておいで』

八重は天元の言葉を思い出した。
天元に、呼ばれた気がした。
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