第8章 【羂索】八百比丘尼
「…ねぇ、さっきからなんでニヤニヤしてるの?」
真人の言葉で思考が引き戻される。
テーブルの上にはボードゲーム。
たいして時間は経っていない。
「あぁ、昔出会った女のことを考えていた」
「え…元カノ?」
「いいや、手酷く振られた女、だね」
「そんな女で笑えるの?夏油ってドМ?(笑)」
「ははっ!それをどうやって物にするかが燃えるんだろ?」
「…ごめん、やっぱドSだわ」
そんな軽快なトークをしつつ、思いは別のところへ飛ばす。
(私を殺さなかったことはお前の〝選択〟だ。
お前は私が有限であると決め付けた。
自分以外に永遠に近しい者がいることなど想像すらしなかったのだろう。
お前が選ばなかった選択の代償はお前以外の者が負うことになるだろう。
どれだけ大勢の者が傷つくかをお前はまだ知らない。
その事実を知った時、お前はどんな顔をする?
その顔を見る時が来るのを、私は心から望んでいる)