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【呪術廻戦】誰も知らない

第27章 【脹相】へる日々


「八重さん、このプリン、初めて作ったってホント?めちゃくちゃ美味いんだけど!」

「ありがとうございます。五条さんがお好きなようでしたのでお作りしたのですが、成功したようでよかったです」

虎杖は素直に八重を褒められる人間だ。
それは脹相にとって誇らしくもあり、羨ましくもある。
かという脹相はというと、手に持つプリンが五条の為に作られたという事実がまたへそを曲げていく。
それでも八重の作ったプリンを余所に置くこともできず、結局はまた無表情を決め込んで食べて、その美味しさに更に機嫌が悪くなる。
八重を喜ばせる言葉一つ言うことのできない自分の浅さに嫌気がさす。
その度に痛感する。

(やはり八重の隣には悠仁、だな…)

決して五条ではない、と。

パーティがお開きになった時も虎杖は「八重さん、これ全部片付けんの?大変じゃない?俺、手伝うよ?」と自然と声をかけている。

「いえいえ、片付けは私にお任せください。今日は長旅でお疲れでしょうから、悠仁くんはゆっくりお風呂に入ってきてください」

そう八重に優しく声をかけられれば、少し照れたように「わかった!何かあったら言って!」と手を振って去っていった。
脹相も一度は食堂を後にした。

皆が会場から出るのを待って(五条が一番最後まで八重にまとわりついていた)、八重はようやく会場の片付けを始めた。
脹相は音もなく出入り口に立ち、その様子を見ていた。
声をかけるべきだろうか、何とかけるべきだろうか。
しかし、言葉が出てこない。
声をかければきっとやんわりと追い返されるだろう。
程なくして八重は脹相の名を呼びながら振り返った。

「脹相、どうしました?」

いつでも、どこにいても、自分を見つける八重に脹相は少しだけむず痒い感覚を覚える。
更に言葉が出てこなくなった。
代わりに脹相は足を出した。
ツカツカと八重のところまで歩を進めると、テーブルの上に置かれた食器たちを盆に乗せた。

「え、あの、脹相?」

脹相が食器を片付けるのがそんなに珍しいのか、八重はとても驚いている様子で脹相を見ていたが、数秒後には「私がやりますから…!」と慌てだした。
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