第24章 いとほし日々[中編]
結局、パーティの片付けを終えた八重はそれ以降の仕事はやらずに自室へ戻った。
戻ったところで眠るわけでもなく、何かやりたいことがあるわけでもないのでベッドに身体を横たえてただぼんやりと天井を眺めていた。
八重にとってその時間はとても無駄なものに思えた。
本当であれば今頃浴室を掃除している。
その後はシャワー室。
そうすれば朝から使う人も気持ちよく使えるのに。
洗濯だって夜のうちにしておけば、朝からすぐに干せてその日の内にカラッと乾いくのに。
何度も溜息をしながらただ流れる時間を凌ぎ、カーテンの隙間から薄っすらと入った光を目にした瞬間に飛び起きて洗濯室に向かった。
洗濯機を回している間に浴室とシャワー室の清掃、朝食の準備を粗方やり、洗濯を干してから朝食を仕上げる。
夜中に出来なかった分の仕事までこなすのでかなり慌ただしかったが、それでもやり甲斐はとてもあった。
(あぁ、やっぱり働いていた方が楽だなぁ)
心のモヤが少しだけ晴れるようだった。
食堂に朝食を準備しておき(基本的に配膳はセルフ)、八重は2回目に回した洗濯物を干しにかかる。
「おはよー、八重」
声のする方を見ると欠伸をしながら五条が歩いてくる。
こんなにも寝癖が絵になり、欠伸で潤んだ瞳に色気が出る人間を八重は見たことがなかった。
「おはようございます、五条さん」
「朝から元気だねー。よく眠れた?」
「はい、不足はしてません」
「そりゃ、よかった。僕は3時間しか寝れなかったー」
再び大きな欠伸をするので八重は「もう少しお眠りになってはいかがですか?」と進言する。
「いや、ちょっと八重と話したくて」
五条は八重が干したばかりの洗濯物を指でいじりながら、「綺麗に干すねー」なんて呟いている。
「そうですか、何をお話しましょう?」
八重は五条に向き直り、姿勢をシャンと伸ばした。
「なんか、八重って僕と話す時、いっつもペッパーくんみたいな対応だよねー」
“ぺっぱー”が何者かわからない八重は「はぁ…」と気の抜けた返事をするしかなく、それを五条はおかしそうに笑う。