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【呪術廻戦】誰も知らない

第22章 【脹相】繋縛


「…その力はもう使うな」

冷たい炎で八重も凍てついて止まればいい。
そんな期待も「お約束、したくありません」と断たれる。
食い下がっても聞き入れはしない。

〝これ以上、お前の負担にはなりたくない…!〟

そう強く願うのに、その言葉だけは口からは出ない。
それなのに。

「負担だなんて…!」

八重の口から出た言葉で、〝繋がり〟で自らの願いが伝わってしまったことを知る。
勝手に思考を読んでしまったと感じたのか八重は一度謝ると改めてこちらに向き直った。

「私はあなたに力を使うことを負担だなんて思いません。戦うこともできず、癒やすこともできない…それでも、あなたの痛みは感じるから…何もせずにはいられないのです」

(…違う。そうじゃない)

「…お前に…そんな力は必要ない」

(必要ないんだ)

「…お前はそんな人間離れした力を使わなくても、充分周りを支えられる人間だ。人間であることを手放すな。俺は永遠なんて信じていない。お前はきっといつか人として死ねる。だから、それまで、人として生きろ」

九十九に言われた言葉を、脹相が救われたその言葉を、気付けば八重に渡していた。
それで八重も救われて欲しいと思った。
しかし、八重は尚も言葉を紡ごうとする。

(…ダメなのか?何を言っても、お前は止まらないのか…?)

どんなに臓腑を焼かれようとも、どんなに八重の意思が固かろうとも、『守る』という脹相の意思も変わらない。
八重の誠意を尽くした言葉を聞けば聞くほどそれは頑なになる。
だからこそ、それ相応の、そして今持てる最大のカードを、歯を食いしばってでも切るしかない。

「…それでも俺の痛みに気を取られ、誓えないというのなら…俺はお前との〝繋がり〟を断つ」

その瞬間、八重の張り詰めていた感情の糸が切れた音を聞いた。
うわ言のように返事をして、存在意義の求めて己の迷宮に向かおうとする八重に「悠仁が戻ってきている」、「お前はお前の仕事をしろ」と発破をかける。
そうしてようやく脹相の知る八重が戻ってきた。
それと共にようやく脹相の中の炎も消えた
そして、脹相は自分をひどく嫌悪した。
一番大切なもので脅してでしか止められない自分を。
弟の名前を使うことでしか引き戻せない自分を。
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