第13章 何があっても…(鬼滅の刃/炭治郎夢)
「……っ、ハァ……ハァ……!」
全身を苛む激痛。肺が焼けるように熱い。
は、壁に背をもたれかけ、ずるずるとその場に崩れ落ちた。
目の前には、塵となって消えゆく鬼の残骸。
死闘だった。
下弦の陸――その実力は、今のあたしにはあまりに荷が重すぎた。
それでも、何とか相打ちに近い形で勝利をもたらすことができた。
だが、代償は大きかった。
腹部を深く切り裂かれ、そこからドクドクと赤い血が流れ出している。
隊服は裂け、視界は自分の血で赤く染まっていた。
「……ここまで、かな」
指先一つ動かす力も残っていない。
感覚が、麻痺していく。
氷のように冷たい感覚が、足元から這い上がってくる。
(炭治郎……)
薄れゆく意識の中で、一番に思い浮かんだのは彼の顔だった。
あの、太陽のように温かくて、澄み渡った瞳。
彼なら、きっとこんなあたしを叱って、そして……。
「……っ……ぁ……」
まぶたが、重い。
静寂が、世界を包み込もうとしていた。
その時だ。
「――さん!!」
聞き慣れた、けれどこれまでに聞いたことがないほど切羽詰まった声。
遠くで、誰かが叫んでいる。
(……空耳? それとも……)
*