第1章 紅い雪と、銀の閃光【炭治郎夢】
あの日。
空からは、すべてを覆い隠すような白い雪が降っていた。
「……っ、間に合え……!!」
冷たい空気を切り裂いて、あたし―― は走る。
鼻を突く、異様なまでの「死」の匂い。
炭治郎の家が見えた瞬間、あたしは刀を抜いた。
そこにいたのは、漆黒の瞳をした「怪物」。
「……何だ、貴様は」
冷酷な声。 家族に伸びようとしていたその手を、あたしの刃が弾き飛ばす。
「この家族には……指一本、触れさせない!!」
金属音が雪山に響く。
格上なんて、わかってる。 死ぬかもしれない。
でも、あたしの体は勝手に動いていた。
火花が散り、視界が赤く染まる。
一瞬の隙。
あたしは渾身の力で、その男――無惨の首を狙った。
「死ね……ッ!!」
手応えはあった。
けれど。
「……不快だな」
背後から放たれた衝撃。
意識が遠のく中、男は闇の中へと消えていった。逃した。
あと一歩、だったのに……。
視界が、真っ暗に、落ちていく。
*