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『はつこい』

第13章 『 負けられない理由 』


「…忘れちゃっていいの…?」

小さくそう言った咲の目には、
うっすら涙が溜まっていた。

「…いっぱい待ったよ…?」

少しだけむっとしたように唇を尖らせて、
でもすぐに視線を落とす。

「……うそ。忘れないで」

その言葉を聞いた瞬間、
凛人は小さく息を吸った。

もう迷わない。

「咲」

真っ直ぐ目を見て、
逃げないように、そっと両手を握る。

「好き。大好き」

少しだけ震える声で、
でもはっきりと言い切った。

「もう離さない。
 我慢もしない。――俺と、付き合って」

一瞬、時間が止まったみたいに静かになって、
咲の目からぽろっと涙がこぼれる。

「……凛人先輩……だいすき」

ぎゅっと手を握り返し、
小さくうなずいた。

「よろしく、お願いします……」

その答えを聞いた瞬間、
凛人は安心したように笑って、
そっと咲を抱き寄せた。
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