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白と黒のハーモニー 第二局 【ヒカルの碁・緒方精次】

第34章 ● 一柳家での卒業祝い ○


 週末に一柳家で、健と星歌の高校卒業祝いが行われることになった。緒方も招かれ、宴の前に一柳と軽く対局中だ。一柳は棋聖のタイトルを奪われて無冠であるが、それでも手ごわい相手には違いなく、本人もまたタイトルを獲るぞと意気込んでいる。
 碁のお手本のような布石が終わり、右上隅で戦いが始まる…というとき、緒方は話を切りだす。
「星歌と一緒に暮らしたいと思っています。先生はどうお考えですか?」
「同棲か、オレはいいと思うよ。ただ、星歌の父親はなんて言うだろうな?アイツは職業柄、妙に口が達者でな。気がつくと論破されてる…なんてことにならなきゃいいんだが」
「職業柄…と言いますと?」
「なんだ?もしかして知らないのか?星歌の父親は弁護士だ。ニューヨークのどデカいビルにオフィスを構えてるよ」
 星歌の父親が弁護士…。しかも、ニューヨークで開業するバリバリのやり手。緒方の脳内で、まだ見ぬ星歌の父親とのやり取りが繰り広げられる。
「高校を卒業したばかりの娘を、どうするつもりだ?」
「婚約?まだ学生なのに、早すぎるんじゃないか?」
「囲碁棋士として収入は?生活設計は?将来の安定は?」
 一柳は、緒方の顔を見てクスクスと笑った。
「まァ、緒方くんなら大丈夫だろう。オレが味方するから」
「…頼もしい限りです」
「十段戦も頑張れよ。棋士の強さは、防衛して初めて認められるんだ」
 それに関しては、緒方も常々思っていたことだ。十段を防衛して、星歌との同棲をスタートするんだ、と気合が入る。それと同時に、新たな緊張が芽生え始めている。弁護士の父親…。一人娘の星歌と同棲させてほしいという願いを、すんなりと聞き入れてくれるだろうか…。
 黒猫のミケが現れて「ニャー」と鳴いた。…オレを応援してくれているのか?そんなふうに思えて、気持ちが少し落ち着く。できる限りのことをやるしかないな…。そう考えてから黒石をホウリコんだ。
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