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白と黒のハーモニー 第二局 【ヒカルの碁・緒方精次】

第33章 ○ 幸せに包まれる朝 ●


 春の朝の日差しが、カーテンの隙間から細く差し込み、ベッドに淡い筋を描く。
 緒方は、胸の奥が満ち足りるような幸福に包まれている。隣に星歌がいる。まだ眠っている星歌のまつ毛が朝の光に小さく揺れている。髪が少し乱れ、頬はほんのり桜色。こんなふうに毎朝、星歌と目を覚ましたい。その想いが胸の奥からあふれそうになる。
 ジッと見つめていると、星歌は「…ん…」と小さく身じろぎしてから、ゆっくりと目を開けた。寝ぼけた瞳が緒方を捉える。
「…え…?」
 星歌はパッと目を見開いて、布団を口元まで引き上げた。その反応があまりにも愛しくて、思わず笑いながら言う。
「おはよう」
「…ずっと見てたの…?」
「ああ、寝顔がかわいかったからな」
「もう!」
 星歌は恥ずかしそうに顔を赤らめ、布団に潜りこんだ。
「そろそろ起きよう、朝食作るから」
 緒方は笑いながらベッドを抜けだす。それに続いて星歌も起き上がろうとするが、胸元が顕になり、慌てふためくように再び布団に入る。
「…!…は、裸…!」
 緒方はその様子を見てまた笑う。
「ゆっくり来い」
 そう言ってリビングへ向かった。

 ケトルで湯を沸かしていると、昨夜のことが鮮やかに蘇る。星歌の震える吐息、互いを求め合う声、絡めあった指。まるで夢みたいだ…。
 しばらくして星歌が寝室から姿を現す。もこもことしたパジャマに、少し乱れた髪。今まで見たことのなかった朝の無防備な姿が、そこにはあった。
「…おはよう…」
「目、覚めたか?」
「…うん…」
「トーストでいいか?」
「…うん…」
「目玉焼きも食べるだろ?」
「…うん、サニーサイドアップ」
「了解」
 そんな何気ない会話を交わして緒方は、今なら言える…と、ずっと胸の奥であたためていた計画を口にすることにした。
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