• テキストサイズ

白と黒のハーモニー 第二局 【ヒカルの碁・緒方精次】

第31章 ○ 海辺の街でのデート ●


 泊まる準備をしたいと言う星歌を、マンションの前で降ろす。
「…先に帰ってていいよ?歩いて行くから」
「ん?ここで待ってるぞ?」
 緒方が答えると、星歌は困ったような顔をする。
「時間かかるから…先に帰ってて、お願い」
「そんなに時間かかるか?」
 素朴な疑問を口にすると、星歌は耳まで真っ赤にして小声で言う。
「…だって、お風呂とか…」
 その一言で、緒方の鼓動が一気に早まる。それと同時に理性が、「落ち着け」と叫んでいた。
 声が裏返りそうになるのを必死で抑える。
「…わかった。先に帰る。気をつけて来いよ」
「…うん」
 星歌は小さく頷き、マンションの中へ消えていった。

 緒方は帰宅してすぐ、寝室へ向かう。引き出しを開け、奥にしまった箱を取り出す。中身は、ずいぶんと前に買ったコンドーム。…これ、何年前のだ…?箱を裏返して、期限を確かめる。…まだギリギリ大丈夫だと、ホッと胸を撫でおろす。そして、すぐに自分に言い訳する。使うかどうかは分からないが、もし必要になったら…ないと困るからな…。
 箱とともに収められていたムスクのディフューザーもセットした。重厚感のある官能的な香りが、ふんわりと広がっていく。
 ティッシュもあるし、寝室はこれでOKだな…と思うが、緊張感は収まらず、指先の震えを自覚する。星歌が嫌がることは絶対にしないと、何度も自分に言い聞かせながら、それでも高まる期待を抑えきれずにいる。今頃、風呂に入って、泊まるための準備を…。湯上がりの星歌…濡れた髪、ほんのり赤くなった頬、パジャマ越しに伝わる体温。想像しただけで体が熱くなった。 
 星歌を傷つけることはしないが、もし今夜、いいと言ってくれるなら、もう待つ必要はないだろう…。心を落ち着かせるように、大きく深呼吸をした。
 リビングに移動してソファに座り、星歌を待つ。時計の針がゆっくりと進み、運命の時へと近づいていく。
/ 135ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp