• テキストサイズ

白と黒のハーモニー 第二局 【ヒカルの碁・緒方精次】

第31章 ○ 海辺の街でのデート ●


 しばらくすると、花束を抱えた星歌がこちらに歩いてくる。門からは何人かの女生徒が様子を窺い、星歌はときどき振り返る。
 緒方は車を降りて、星歌を出迎えた。
「早かったな、もういいのか?」
「みんなが、早く行きなよって」
「そうか、とりあえず乗れ」
 緒方が助手席のドアを開けて星歌をエスコートすると、門前の生徒たちから悲鳴のような声が再びあがっていた。

 緒方の車は星歌を乗せて走りだす。
「飯でも行くか?」
「あんまりお腹空いてないな、なんか胸がいっぱいで…」
「じゃあ、ドライブだな」
 行くあてもなく気の向くまま走り、海沿いの道へ滑りこんだ。春の柔らかな日差しを受けて水面がキラキラと輝いている。星歌は助手席で花束を抱えたまま、窓の外を見ている。
「精次さん」
「ん?」
「なんだか、夢みたい…」
 緒方はハンドルを握ったまま、小さく笑う。
「夢なんかじゃない、現実だ」
「うん」
 車はショッピングモールの駐車場に停まる。
「海沿いを少し歩くか?」
「うん」

 2人は海風を受けながら、ゆっくりと歩く。制服姿の星歌と手を繋いでいるからか、すれ違う人に見られているような気がして、緒方は落ち着かない。実際、先ほどの中年女性のグループはジロジロとオレたちを見て、ヒソヒソと話していた…ように思う。星歌は特に気にする様子はなく、オレに寄り添っているが…。
「…服でも買うか?」
 居た堪れなくなって提案する。
「服?」
「…制服だと、少し…目立ちすぎる」
「…お金、あんまり持ってこなかった」
 思いもがけない答えに吹きだす。
「買ってやるから、卒業祝いだ」

 ショッピングモールに入り、星歌のお気に入りの店へ向かう。星歌はしばらく悩むが、比較的スムーズにコーディネート一式が決まる。店で着替えてから、再び2人は歩き始めた。
/ 135ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp