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白と黒のハーモニー 第二局 【ヒカルの碁・緒方精次】

第27章 ○ 2人の和解 ●


 昼休みのチャイムが鳴ると、星歌は階段を上って屋上へと向かう。
 冷たい北風に制服のスカートがはためく。フェンスに寄りかかって、遠くの街並みを眺める。あの辺に棋院がある。精次さん、今日は来てるのかな?ちゃんと寝たかな?鍵、かけなかったけど大丈夫かな?胸の奥がギュッと締めつけられる。
 昨夜のことが何度も頭の中でリプレイされる。押し倒されてニット越しに触られた感触。スカートの中へ手が入ってきた瞬間に体が凍りついたこと。…怖かった。でも、最後に聞いた「すまない」という掠れた声も、耳に残っている。
 精次さんはずっと我慢してたのかな…。涙がにじみそうになるから、上を向いて目を閉じた。少しして振り返ると、ゆみが立っていた。
「星歌、今日、朝からずっと元気ないけど、どうしたの?」
「…ちょっと…寝不足で」
 ゆみは苦笑いで星歌を見つめる。少し間を置いて、言葉を続けた。 
「ハッピーのことで悩んでるの?」 
「え…」
「だって、女子高生の悩みってほとんど恋愛だもん」
「…確かに、そうかも…」
「話聞くくらいならできるよ?」
 星歌は少し考えてから、ポツリと呟く。
「…私、精次さんのこと好きなのに、ちょっと怖いって思っちゃった…」
「それって…すごく、つらいよね」
 ゆみが小さく頷く。
「私、もったいつけてるだけのイヤな女なのかな…って思った」 
「どうして?」
「…昨日、精次さんがすごく酔ってて…。体に触れられて…。私…泣いちゃった…」
「星歌が泣いたら、ハッピーは何か言った?」
「『すまない』って謝ってくれた」
「ハッピー、初めてそんなことした?」
「…うん…」
 ゆみは少し考えてから静かに言う。
「星歌が怖いって思った気持ちは、絶対に間違ってない。その気持ちも含めて、ちゃんと話したほうがいいよ」
「…うん…」
「ハッピー、きっと今、死ぬほど後悔してるよ」
「…うん、そうかもしれない…」
 その言葉に胸が苦しくなる。
 屋上の鐘が昼休み終了を告げる。
 星歌は涙を拭って小さく笑った。
「…ありがとう、ゆみちゃん…」
「いつでも味方だからね」
 2人は並んで歩き、教室へと戻っていった。
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