第8章 初めての寮生活
入寮を数日後に控え、爆豪家では荷造りの真っ最中だった。
光己はの前に腰を下ろすと、その小さい手を優しく包み込むように握った。
「……ちゃん。本当に、ごめんなさいね。……恐ろしい目に遭わせてしまって。もっと私が気をつけていれば……」
光己の瞳には、隠しきれない後悔と涙が滲んでいた。
は慌てて首を振る。
「……そんな、言わないでください、光己さん。あれは、外出の出来事で……それに、この短い間……私をずっと匿って、優しくしてくれて……本当に、感謝してるんです」
彼女の脳裏には、ヴィランに汚された自分を、光己が何も聞かずに温かい食事と清潔な寝床で包んでくれた日々が浮かんでいた。
「……感謝なんて。……ねぇ、ちゃん。あんたが良ければ、寮になんて行かずにずっとここにいて欲しいくらいなのよ」
「え……?」
光己はをそのまま、慈しむように強く抱きしめた。
「あんたはもう、他人のような気がしないの。……ねぇ、勝己にはもったいないくらいだけどさ。……いつか、本当の娘として……うちの『嫁』においで。私はいつでも大歓迎だからね」
「よ、よよ、嫁……っ!? わ、私が……勝己くんの……ッ!?」
耳元で囁かれた大胆な言葉に、の顔は一気に沸騰した。ヴィランに汚された自分を「嫁」と言ってくれるその慈愛に、胸の奥が震える。
「おい、ババァ!! 変なこと言ってこいつを困らせんじゃねぇよッ!!」
段ボールを抱えていた爆豪が、真っ赤な顔をして怒鳴り散らす。
だが、その視線は泳いでおり、光己の言葉を真っ向から否定はしなかった。
「何よ! あんたもそのつもりで、ずっと付きっきりだったんでしょ? 寮の部屋まで隣りなんて!」
「う、るせぇ!! 警備の都合だって言ってんだろッ!!」
「ふん、素直じゃないわね。……でも、ちゃん。勝己はこう見えて、あんたのことだけは死んでも守り抜くって、目に決意が張り付いてるわ。……だから、安心していいのよ」
光己は最後に、の頬を優しく撫でて微笑んだ。