第5章 『極上ミルク』の正体
「爆豪、下がれ。……この件に君を関わらせるわけにはいかない」
ジーニストの静かな、だが断固とした拒絶が部屋に響く。
「……あァ!? ふざけんな、ジーパン! あいつが、……があんなクソ共に汚されてんだぞ!? 黙って見てろってのかよ!!」
「そうだ。だからこそ、その『私情』が現場の綻びを大きくする。それに、この事件の惨状は……君のような若者が直視していいものではない」
ジーニストの言葉には、かつてないほどの重みがあった。
裏社会で「家畜」として扱われ、三つの穴を蹂躙され、男たちの種子を糧にされている。
その事実を知れば、爆豪の精神が壊れると危惧したのだ。
「――っ、俺が、……俺が……あの日……ッ!!」
爆豪は拳をデスクに叩きつけた。
彼の瞳には血走った怒りと、隠しきれない絶望が滲む。
「あいつを……俺が一度、傷つけた……でも、あいつを…守らなきゃいけねぇ……っ、俺が一番に……っ!!」
「爆豪……」
「行かせろ。行かせねぇなら、今ここでこの事務所ごとぶっ飛ばしてでも行く……。あいつが泣いてんだ。今この瞬間も、クソ野郎どもの汚ねぇもん飲まされて、壊されてんだろ……! 俺が、俺がこの手でぶっ殺さねぇと気が済まねぇんだよ!!」
爆豪の咆哮は、悲鳴にも似た愛の告白だった。
その瞳に宿る、焼き切れるほどの殺意と、それ以上に深い幼馴染への想い。
ジーニストは長く、重い溜息をつき、首元のネクタイをゆっくりと締め直した。
「……規律を乱すのは二流だ。だが、その『執着』を力に変えられるのなら……あるいは」
ジーニストは鋭い視線で爆豪を射抜いた。
「いいだろう。同行を許可する。ただし、一秒たりとも独断で動くな。……そして、現場で何を見ても、絶対に心を折るな。いいな」
「……分かってんだよ。……クソが」
爆豪は顔を伏せ、短く吐き捨てた。
だが、その拳は白くなるほど握りしめられ、今にも爆ぜそうなほどの熱量を蓄えていたーー。