第11章 毒ある慈愛の飼育
ドロドロになった彼女の身体と、無残に汚れたベッドを二人で手際よく清め、泥のように眠るを新しいシーツへ横たえた後。
相澤とマイクは、重い足取りで相澤の自室へと移動した。
部屋に満ちる微かなコーヒーの香りが、先ほどまでの淫靡な狂騒を現実のものへと引き戻していく。
「……なぁ、相澤。お前、ずっと一人であんなバケモノみたいな快楽と戦ってたのか?」
マイクがソファに深く沈み込み、天井を仰ぎながら力なく笑った。
その指先はまだ、彼女のナカの熱を覚えているかのように微かに震えている。
「戦っていたわけじゃない。……ただ、観察し、管理しようとしていただけだ。結果は見ての通りだがな」
相澤はコーヒーを一口啜り、苦そうに眉間に皺を寄せた。
「あの身体、……もう、ただの『生徒』の域を完全に超えてやがる。前も後ろも、男を喜ばせるためだけに特化されたみたいに……。あんなに欲しがられたら、プロだろうがなんだろうが、抗える奴なんてこの世にいねぇよ」
「……あァ。開発され尽くしている。元々の素質もあったんだろうが、今や自ら男を求め、受け入れることに一切の躊躇がない。……元に戻そうにも、彼女自身がそれを拒んでいる状態だ」
相澤の言葉は重かった。
教育者として彼女を導くべき立場でありながら、その実、自分たちこそが彼女の深淵に引きずり込まれている。
「いいじゃねぇか、別に」
ふと、マイクが突拍子もないことを口にした。
「……あ?」
「いや、だってよ。あの子自身、あんなに幸せそうに笑って、俺たちのを受け入れてるんだぜ? 気持ち良すぎて感動すら覚えたよ。本人が望んで、俺たちがそれに応える。……このまま、あの子の好きなようにさせてやってもいいんじゃねぇかって、一瞬本気で思っちまった」
マイクの瞳には、まだ彼女の「毒」に当てられた熱が残っている。
しかし、相澤はそれを鋭い眼光で撥ね退けた。
「……山田、お前も廃人になりたいのか」
「……っ」
「いいか、彼女の『欲』は底なしだ。今日はお前と二人だったからなんとかなったが、あいつの『ミルク』は摂取する側のリミッターを外す。男が命を削ってまで注ぎ込み続け、最終的に使い潰される……そんな未来が容易に想像できるだろ。……野放しにはできない」
相澤はカップを机に置くと、重い溜息をついた。