第10章 欲しがる者と与えるモノ
は自嘲気味に、自分の火照った頬を両手で包み込んだ。
「治るどころか、どんどん酷くなって……。今は、かつきくんに、もっと酷いことされないと……満足できない身体になっちゃったんです」
「……っ、そんな状態になるまで、…」
相澤は頭を抱えた。
彼女の個性は本来、治癒と活力を与える慈愛の力に使えるもの。
それが治崎による歪んだ干渉によって、常に他者の「種」と「熱」を求め続ける暴走状態へと変質してしまったのだ。
「……爆豪は、お前がそうなることを知ってて抱き続けているんだな?」
「……勝己くんは、『お仕置き』だって。……他の男に抱かれた分、俺が全部塗り替えてやるって……」
「……あの馬鹿が」
相澤は深く、長く溜息を吐き出した。
爆豪の独占欲は、彼女の「病」を治すどころか、依存という名の劇薬でさらに悪化させている。
「……。お前の状態は、もはや個性の暴走に近い。……一時的に隔離して、個性を消すことも検討しなければならない……」
「……やだ。……消さないで、先生。……今、出さないと……ナカが、……また疼いて……っ」
は縋るように相澤に近づくと、座ってる彼の肩に手を置いた。
その指先は熱く震えている。
教師やヒーローとしての使命感と、目の前の教え子が放つ毒にも似た芳香の間に立たされ、相澤はかつてないほどの窮地に立たされていた。
は涙を浮かべて訴えた。
その瞳にはもはや教え子としての面影はなく、ただ飢えた雌の光が宿っている。
「……よせ、。お前は今、冷静じゃない。……俺も生徒に手を出すわけにはいかない」
相澤は低く、拒絶の声を絞り出した。
だが、その声はわずかに震えている。
彼の鋭い鼻腔は彼女から溢れ出す甘いミルクの香りと、独り歩きを始めた情欲の匂いが蹂躙していた。
「……っ、そんなこと、……言ってられないくらい、……ここが、……っ」
は相澤の拒絶を無視し、震える手で彼の股間を服の上から迷わず握り締めた。
「なっ……!? お前、何を……ッ!」
「……先生のだって、……こんなに、……かたくなってる……っ。先生も、……本当は、……わたしが欲しいんでしょ……?」