第9章 囚われのお姫様
翌週の放課後の駅前、街の喧騒は今のにとって、どれもが輝いて見えていた。
出掛けることに対して、三人のヒーロー候補生たちからは「GPSだけは切るな」「スマホは肌身離さず持っておけ」と執拗に念押しされていたが、こうして「普通の女の子」として友達と笑い合える時間は、彼女にとって何よりの救いだった。
「わぁ……! このパンケーキ、ふわふわで美味しい……!」
「でしょ? 友達になった記念にちゃんを連れてきたかったんだ!」
カフェで甘いものを堪能し、その後はゲームセンターで賑やかな音楽に包まれた。
三人の視線がない開放感に、の頬は自然と緩んでいた。
そんな時だった。
「……あれ? もしかして、?」
背後から聞き覚えのある、懐かしい声が響いた。
振り返ると、そこには以前通っていた学校の親友が立っていた。
「えっ……美咲ちゃん!? どうしてここに……!」
「やっぱりだ! 急に転校しちゃうから心配してたんだよ。ねぇ、ちょっとだけ話せない? 積もる話もあるし」
「うん、もちろん……!」
友人達に少し外すと告げ、は美咲に連れられてゲームセンターの裏手にある、人通りの少ない路地へと移動した。
「急にいなくなっちゃってごめんね。実は色々あって、今は雄英の普通科に……」
「……へぇ、雄英。あそこ、ガード固いもんね。でも、今日はこうして『外』に出てきてくれたんだ」
「え……?」
ふと、美咲の口調から温度が消えた。
いつもより少しだけ声のトーンが高いような、粘りつくような違和感があった。
「美咲ちゃん、どうしたの……? それにここ、ちょっと暗いし、そろそろ戻らなきゃ……」
不安に駆られたが後退ろうとした瞬間、美咲が勢いよく彼女を抱きしめた。
「だーめ。逃がさないよ、ちゃん。……ずっと、近くで見てたんだから」
「えっ、あ……っ、苦しい……っ!」
「あはっ、可愛い……」
耳元で囁かれたのは、親友のものではない、無邪気で狂気的な声だった。
驚愕に目を見開いたの首筋に、冷たい金属の感触が走った。