第8章 初めての寮生活
カーテンの隙間から差し込む朝日に、が意識を取り戻すと、全身を襲ったのは、鉛のようなだるさと、昨夜の「お仕置き」の余韻であるヒリヒリとした痛みだった。
「……ん、……っ痛……」
思わず漏れた小さな声に反応して、腰を抱きしめていた腕に力がこもる。
「……起きたか」
すぐ後ろから聞こえたのは、いつもの刺々しさが消えた、低く掠れた声。
爆豪は彼女の肩口に顔を埋めたまま、バツが悪そうに視線を逸らしていた。
「勝己、くん……」
「……やりすぎた。……悪かったと思ってる」
あの爆豪が、これほどまでに素直に謝るなど、普通では考えられないことだった。
それほどまでに、朝の光の中で見る彼女の身体に刻まれた「痕」が、彼の罪悪感を煽ったのだろう。
は少しだけ困ったように微笑み、自分を抱きしめる彼の手の上に、そっと自分の手を重ねた。
「……もう、本当に痛かったんだから。もう、酷くしないでね」
「……チッ。……てめぇ、そういうとこだぞ」
許しを得た瞬間、爆豪の腕がいっそう強く彼女を拘束した。
彼は甘えるように首筋に鼻先を押し付け、深く呼吸を繰り返す。
「……今日、学校休め。その身体じゃ、歩くのもキツいだろ」
「ううん、頑張って行くよ」
「……クソが。変な奴に捕まんじゃねぇぞ」
普通科C組。
なんとか登校したものの、歩くたびに腰やお尻が疼き、は何度か顔を赤らめた。
そんな彼女に、普通科で仲良くなった女子生徒たちが駆け寄ってきた。
「ねぇちゃん! 今度の放課後、駅前にできた新しいカフェ行かない?」
「そうそう! 期間限定のパンケーキ、すっごく美味しいんだって!」
の瞳がぱあっと輝いた。
「えっ……私でいいの? 行きたい、……行ってみたい!」
「やったぁ! じゃあ決定ね!」
嬉しくてたまらなかったは、すぐに相澤のもとへ走り、外出許可をもぎ取った。
「……門限は守れよ」
「はい!」
相澤の視線を背に、は浮き立つ心で校門を抜けた。
背後にある「雄英高校」という巨大な檻から出るひとときの自由。
それが、また地獄の日々始まりだとは知らずにーー。