第4章 密やかなる蛇の愛 ― 伊黒と繋ぐ、唯一の光【番外編】
実弥さんの娘、実花ちゃんの誕生に刺激を受け、どこか落ち着かない様子だった伊黒さん。
その夜、彼はお館様の屋敷の離れにある私の部屋に、影のように静かに現れた。
夜の静寂が包み込む中、伊黒さんは私の背後に座り、細くしなやかな腕で私を閉じ込めるように抱きしめた。
「……実弥のあんなに幸せそうな顔、初めて見た。……忌々しいが、羨ましく思ってしまったのは事実だ」
伊黒さんの声は、包帯越しに私の耳元で低く響く。
彼は私の首筋に顔を埋め、蛇が獲物を確かめるように、執拗に私の匂いを嗅ぐ。
「俺の血は呪われている。だが、お前との間に新しい命が宿るなら、その子はきっと、お前に似た清らかな魂を持つはずだ。
……その確信が、俺を狂わせる。今夜はお前を誰にも渡さないし、一寸の隙もなく俺の色に染め上げてやる」
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