第6章 口溶けショコラ 【呪術廻戦 七海建人vs五条悟】
「はいはいはーい! そこまで! タイムアップだよ、ナナミン!」
重厚な扉が景気良く開き、場違いなほど明るい声が室内に響き渡った。
そこに立っていたのは、タキシード姿の五条悟だった。
「五条さん!? なんでここに……」
「がナナミンと密室で二人きりなんて、僕が許すわけないでしょ」
五条はスタスタと歩み寄ると、七海との間に割り込むようにして座った。
いつもの軽薄なノリかと思われたが、その横顔は驚くほど冷ややかで、真剣だった。
「抜け駆けは感心しないな。僕だって毎年、彼女に想いを伝えてるんだから」
「……五条さん、あなたのそれは『デートしよう』だの『僕を選べば一生遊んで暮らせる』だの、茶化しているようにしか聞こえませんが」
七海が不快そうに目を細めると、五条はの手をそっと取り、サングラスを少しだけずらして青い瞳を露わにした。
「茶化してなんてないよ。……ねえ、。君が術師として傷つくのが耐えられなくて、無理やり補助監督に引き抜いた時、僕がどんな気持ちだったか、まだ気づいてないの?」
「……え」
「冗談だと思ってた? 毎年断られても言い続けてるのは、本気だからに決まってるじゃん。他の誰にも、君を渡す気なんてないよ」
「五条さん、手を離しなさい。彼女が困っています」
「困ってても離さないよ。七海に持っていかれるくらいなら、嫌われた方がマシだもん」
「あの……私……」
今まで「過保護な同級生」と「自由奔放な最強」だと思っていた二人。
けれど今、向けられているのは紛れもない「男」としての情熱だった。
豪華な個室の空気は、シャンパンよりも甘く、毒のように重く、を包み込んだ。
二人の熱い視線がぶつかり合い、その火花に焼かれるように、彼女はただ、真っ赤な顔をして立ち尽くすことしかできなかった。
右からは七海の、静かだが重く、深い愛。
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左からは五条の、強引だが切実な、一途な愛。
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