第6章 口溶けショコラ 【呪術廻戦 七海建人vs五条悟】
一方の七海も、彼女の姿を捉えた瞬間に動きを止めた。
プロの手によって整えられた髪、デコルテが覗くドレス。
見違えるほど美しくなった元同級生の姿に、彼は一瞬、呼吸を忘れたように固まった。
「……七海さん?」
「…………。いえ、失礼。あまりに綺麗だったので、言葉を選んでいました」
七海はわずかに耳の裏を赤くしながらも、すっと紳士的に腕を差し出した。
「似合っていますよ、さん。……今日のために、これを選んで正解でした」
「ありがとうございます……。でも、七海さんも、その……すごく、格好いいです。眼鏡、してないんですね」
「たまには、視界をクリアにしてあなたと向き合いたいと思いまして」
そう言って微かに微笑む彼に、はもう顔を上げるのが精一杯だった。
窓の外には、宝石を散りばめたような東京の夜景が広がっていて、レストランの個室は、外界の喧騒を遮断した静寂に包まれている。
美味しいディナーと少し強めのワインで、の頬は林檎のように赤く染まっていた。
デザートのフォンダンショコラまで堪能し、ふぅ、と一息ついた時だった。
「さん。これを」
七海が差し出したのは、美しいリボンの掛けられた有名ブランドのチョコレート箱。
そして、深紅の輝きを放つ三本の薔薇だった。
「えっ……七海さん、これは?」
「三本の薔薇の花言葉は、『愛しています』です」
七海の真っ直ぐな視線が、を射抜いた。
眼鏡のないその瞳には、一分の揺らぎもない。
「補助監督として私を支えてくれるあなたに感謝しています。ですが、それ以上に……一人の女性として、あなたを慕っています。かつての同級生としてではなく、これからの人生を共にするパートナーとして、私を選んでいただけませんか」
「なな、みさん……っ」
あまりに真摯な、そして熱い言葉に、は心臓の音が耳元まで届くほど激しくなるのを感じた。
信頼する同僚だと思っていた彼からの、逃げ場のない愛の告白。
驚きで固まり、言葉を探そうと唇を震わせた——その時だった。