第4章 童貞を殺すニットの誘惑♡ 【ヒロアカ 轟焦凍】
「モデルとの食事より、お前の作った飯の方が、俺には何倍も価値がある。……不安にさせてるのは俺の力不足だが、他に行くなんて選択肢、俺の頭には微塵もねぇよ」
「……焦凍」
「これでも足りねぇなら、明日事務所に言って、全部公表してきてもいいんだぞ。俺は構わねぇ」
「それはダメ! 焦凍のキャリアに響くでしょ!」
慌てて叫ぶと、彼轟はようやく少しだけ口角を上げた。
「なら、大人しく俺の隣にいろ」
そう言って、彼はの唇に、夕飯の出汁の匂いがする、優しくて少し強引なキスを落とした。
テレビの中の眩しい彼よりも、目の前で少し意地悪く笑う彼の方が、ずっと体温が高い。
「……おかわり、食べる?」
「ああ。たっぷり頼む」
賑やかなカフェの一角。
パンケーキの甘い香りと、それ以上に甘い——あるいは刺激的な——恋バナが飛び交っていた。
「ちょっと!結局、その『多忙な彼氏』が誰なのか、今日も教えてくれないわけ?」
親友の一人が身を乗り出して詰め寄ってくる。は苦笑いしながら、アイスティーのストローを弄んだ。
「本当にごめん。……ちょっと、立場がある人だから」
「またそれ! 芸能人か何か? でもさ、さっき『モテすぎて不安』って漏らしてたよね。あ、わかった。浮気とか?」
「……浮気は、絶対しない人なんだけど。ただ、周りが放っておかないっていうか。知らないところで勝手に熱愛報道が出たり、雑誌で特集組まれたりして……」
それを聞いた友人たちが、顔を見合わせた。
「なるほどね……。だったらさ、。不安がってる場合じゃないよ。その彼を、もっとアンタに骨抜きにさせちゃえばいいの!」
「骨抜き……?」
「そう! 名付けて『彼をメロメロにさせちゃえ作戦』!」
一人の友人がスマホのカレンダーを指差した。
「見て、今度の2月10日。何の日か知ってる? 語呂合わせで『ニットの日』なんだって。しかも、最近流行ってるでしょ? ちょっと露出高めの、あざといセーター、通称『童貞を殺すセーター』!!」