第2章 しゃけ大根に溶ける貴方の心 【鬼滅の刃 冨岡義勇】
「……怖かったんだ。お前がいなくなって、あの冷たい部屋で一人、お前の作る鮭大根を待つだけの時間が。……あんな場所で、他の男がお前に触れるかもしれないと思うだけで、正気でいられなかった」
「冨岡、様……」
「……これからは、ずっとここにいろ。隠の仕事も、もうしなくていい。俺だけのために、笑って、俺の帰りを待っていればいい」
「……それは、私をここに閉じ込める、ということですか?」
が少しだけ悪戯っぽく、けれど不安を込めて問いかけると、義勇は彼女の額にそっと唇を落とした。
「……そうだ。嫌か」
「……いいえ。……嬉しいです、本当は。……私も、冨岡様のことばかり考えて、任務に集中できなかったくらいですから」
の告白に、義勇の瞳がわずかに和らいだ。
彼は、彼女の着物の襟元を少しだけ広げ、昨夜自分が刻んだ紅い痕を指でなぞった。
「……まだ、痛むか」
「……少しだけ。でも、……愛されている証だと思えば、痛くありません」
「……そうか。ならば、消える頃にまた……上書きしなくてはな」
「……っ!? 冨岡様、まだ朝ですよ……っ、んんっ……!」
重なる唇。
窓の外では冬の陽光が差し込んでいるが、この部屋だけは、熱く、甘い、終わりのない情愛が渦巻いていた。