第2章 しゃけ大根に溶ける貴方の心 【鬼滅の刃 冨岡義勇】
「……俺は、を失うわけにはいかない」
義勇は、刀の柄を静かに握りしめた。
「任務なら、俺が代わる。上弦だろうが何だろうが、俺がここで斬る。……だが、は返してもらう。あいつは、……俺の妻になる女だ」
「……あ?」
宇髄は面食らったように目を瞬かせた。
「妻だと? お前、あの奥手な冨岡義勇が……潜入先で何を抜かしてやがる」
「……本気だ。手を出そうというなら、お前相手でも容赦はしない」
「…………」
宇髄はしばらく義勇の据わった目を見つめていたが、やがて「ケッ」と吐き捨てて手を放した。
「……派手にトチ狂ってやがる。……いいぜ。そこまで言うなら、今回の責任はお前が取れ。その代わり、上弦の情報が少しでも出たら、お前が真っ先に動けよ」
「……分かっている」
その時、女衆に支えられ、着替えを済ませたが奥から運ばれてきた。
まだ意識が混濁している彼女を、義勇は宇髄の視線を遮るように、さっと抱きかかえる。
「……行くぞ」
「おーおー、ご執心だな。せいぜい、泣かせんなよ。その娘は、お前には勿体ねぇくらいの逸材なんだからな」
宇髄の皮肉を背に、義勇はを腕の中で強く抱き締め、朝日が昇り始めた遊郭を後にした。