第2章 しゃけ大根に溶ける貴方の心 【鬼滅の刃 冨岡義勇】
一度では、義勇の胸に渦巻く黒い独占欲は静まらなかった。
果ててもなお、彼は彼女の細い腰を離さず、何度もその身体を暴き、己を刻みつけた。
朝方近く、が「義勇、様……もう……」と消え入るような声でその名を呼び、ついに意識を飛ばすまで、彼の猛りは治まることを知らなかった。
白々と明けてゆく吉原の空。
ようやく理性が戻った義勇は、行灯の消えかけた部屋で、累々と重なる乱れた着物と、その中に横たわる彼女の姿を見つめていた。
白粉は剥げ、首筋には無数の紅い痕。
何より、その白い腿を伝う乾いた朱色の筋が、彼に己の無体を突きつけていた。
「……すまない、……」
彼女の指先にそっと触れる。冷え切った自らの手とは対照的な、まだ情事の余熱を孕んだ柔らかな温もり。
初めての彼女に、柱の力で、獣のように。
後悔が波のように押し寄せたが、同時に「これで、もう誰も彼女を汚せない」という歪んだ安堵が彼の胸を支配していた。
「この女を、連れて行く」
義勇は店の者を呼びつけると、持ってきた大金のすべてを卓に叩きつけた。
「これで、この女の身請けに足りるはずだ。今すぐ手続きをしろ」
店の主人は、眼光鋭い水柱の威圧感に蛇に睨まれた蛙のように震え上がった。
「は、はい! すぐに、すぐに!……おーい、さんの身なりを整えて差し上げろ!」
意識のないが別室へ運ばれ、女衆の手で身を清められている間、義勇は廊下で立ち尽くしていた。
その時、屋根の上から不敵な足音が響き、一人の男が舞い降りた。
「…おいおい、随分と派手な真似してくれんじゃねぇか、冨岡」
派手な装飾品を鳴らし、宇髄天元が腕を組んで立っていた。その瞳は笑っていない。
「俺の任務の駒を、勝手に[[rb:身請け > 買い占め]]たってのは、どういう風の吹き回しだ? 派手に越権行為じゃねぇのか、あぁ?」
「……宇髄」
義勇は一歩も引かず、冷徹な瞳で音柱を見据えた。
「は、俺の屋敷へ連れ帰る。二度と、こんな場所に立たせない」
「はっ! 笑わせんな。あいつは自らの意志でここにいるんだぜ? お前の一方的な独占欲で、鬼殺隊の任務を台無しにするつもりか」
宇髄が重い双剣の柄に手をかける。
周囲の空気が一気に張り詰め、建物全体が震えるような圧が放たれた。