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夜の秘め事【裏夢の短編集】【R18】

第2章 しゃけ大根に溶ける貴方の心 【鬼滅の刃 冨岡義勇】


夜の帳が下りる頃、義勇は吉原の入り口に立っていた。
極彩色の灯火、三味線の音、そして男たちの欲望の匂い。
鼻を突くようなその喧騒の中に、清らかなが囚われていると思うだけで、胃の腑が焼けるように熱い。

「……」

隊服を隠すために羽織り替えた着物の袂を握り、義勇は不夜城へと足を踏み入れた。

「いらっしゃい、旦那。いい店があるよ」

声をかけてくる客引きを冷徹な眼差しで退け、一軒一軒、目を皿のようにして探す。
柱としての驚異的な視力と感覚を、今はただ一人の女を探すためだけに研ぎ澄ませていた。

吉原の夜は、義勇にとって毒のような場所だった。
煌びやかな提灯の列も、三味線の浮かれた音色も、すべてがを隠し、汚そうとしている気がしてならない。
数日の間、彼は任務の合間を縫っては、人混みに紛れて彼女を探し続けた。 
だが、隠として気配を消すことに慣れている彼女を、広大な遊郭で見つけ出すのは容易ではなかった。
苛立ちと焦燥で、義勇の瞳はいつにも増して鋭く研ぎ澄まされていた。

ある日、路地裏で酔客たちが鼻の下を伸ばして話しているのが耳に入った。

「聞いたか? 最近、あそこの高級妓楼に入った[[rb:新人 > しんざん]]の娘」
「ああ、あの『』とかいう名のか。驚いたぜ、まだ初々しいが、あの整った顔立ちは逸材だ。まさに泥中に咲く蓮の花、なんてな」
「滅多に客の前に出さないらしいが、今夜は座敷に上がるって噂だぜ」

義勇は迷わず、その男たちの襟首を掴み上げんばかりの勢いで詰め寄った。

「…… 今の話、詳しく聞かせろ。……その娘は、どこの店にいる」
「う、うわっ!? なんだあんた、顔はいいが目が据わって……」
「答えろ。どこの店だ」

凄まじい威圧感に気圧され、男たちは震えながら指を指した。

「あ、あそこの一番大きな店……『京極屋』だよ!」




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