第11章 純白の境界線 【ヒロアカ 爆豪vs轟vs相澤】
披露宴はいかにも相澤らしい、形式を削ぎ落としたラフな立食パーティー形式で進められた。
高砂での簡潔なウェルカムスピーチとケーキ入刀を終えると、根津校長による、乾杯を兼ねた「少し長い」スピーチが始まる。
「自由な校風が雄英の誇りですが、まさか卒業と同時に婚姻届を出す生徒と教師が出るとは、私の計算でも嬉しい誤算でしたよ。では、二人の新たな門出に――乾杯!」
その合図と共に、会場は一気に喧騒に包まれた。
「自由」を掲げる雄英そのもののような、賑やかで混沌とした宴の始まりだ。
「ちょっと先生! 卒業したからって即入籍はやりすぎだって!」
「もだよ! よく隠し通したね、あんな爆弾!」
乾杯が終わるや否や、高砂の二人はA組の面々に包囲された。質問攻めという名の祝福の嵐だ。
「ねぇねぇ! そもそも二人の馴れ初めって何だったの? あの超・合理的な相澤先生をどうやって落としたのか、詳しく教えてよ!」
葉隠が浮き浮きとした様子で身を乗り出すと、女子たちが一斉に高砂を囲んだ。
「馴れ初め……? それはね、一年生の頃のUSJ事件でーー」
は隣に座る相澤を愛おしそうに見上げてから、少し遠い目をして話し出した。
「消太くんがあの時、自分はボロボロになりながらも、私たちのために一人でヴィランの群れに飛び込んでいったでしょ? 顔を掴まれて肌が崩れ落ちそうになっても、それでも必死に瞬きを拒んで、私たちを助けてくれた。あの背中を見た瞬間、この人しかいないって確信しちゃったんだ」
「えぇーっ! あの時から!? 、一途すぎ!」
「……っていうか、今さらっと『消太くん』って言った!? 名前呼び!? やだ、新妻感すごい!!」
芦戸や麗日が黄色い悲鳴を上げると、は「あ……」と顔を真っ赤にして口元を押さえた。
「も、もう! 二人の時はいつもそう呼んでるんだから、いいでしょ!」
「ヒューヒュー! あの相澤先生を名前呼びとか、、マジでヒーロー級の勇気だよ!」
茶化す女子たちの中心で、相澤は白のタキシードの襟を居心地悪そうに正しながら、フイと視線を逸らした。
だが、耳たぶが微かに赤くなっているのを、誰もが見逃さなかった。