第11章 純白の境界線 【ヒロアカ 爆豪vs轟vs相澤】
それから一年。
雄英を卒業し、プロヒーローとしての過酷な日常に追われていた二人の元へ、それは届いた。
爆豪は仕事を終えて戻った深夜の自室で、郵便受けに放り込まれていた一通の封筒を手に取った。
「……あ?」
重厚な紙質に銀の箔押し。
嫌な予感がして、乱暴に封を切る。
中から出てきたのは、結婚式の招待状だった。
爆豪の視線が、差出人の名前に釘付けになる。
『相澤 消太・』
「…………は?……あ、相澤……だ、と……?」
脳裏に、あの一年前のホワイトデーの記憶がフラッシュバックする。
自分たちが中に出し、白濁で塗り潰した、あの無防備な身体。
その翌朝に彼女が向かった「彼氏」の正体は、自分たちの師であり、今やプロヒーローの先輩でもあるあの男だった。
同時刻。
轟もまた、自邸の自室で同じ書面を見つめていた。
普段感情を表に出さない彼が、持っていた招待状を指が白くなるほど強く握りしめている。
「……相澤先生……。そうか、そういうことだったのか……」
あの日、未通のはずだと思っていた彼女が、あまりにもスムーズに自分たちを受け入れた理由。
自分たちがどれほど上書きしようとしても、彼女の心が決して揺らがなかった理由。
すべては、あの合理的な担任教師が、卒業という一線を越える前から彼女を「一人の女」として、徹底的に自分専用に作り変えていたからなのだ。
その夜、A組のライングループは未曾有のパニックに陥った。
『嘘でしょ!? が相澤先生と!?』
『え、いつから!? 誰か知ってたの!?』
『! 説明してよ!』
画面を埋め尽くす通知の嵐。
だが、当のは『驚かせちゃってごめんね(笑)』と、絵文字混じりの短い返信を送るだけで、核心には一切触れようとしない。
爆豪と轟には、他の連中とは違う、身を焼くような屈辱と切なさがこみ上げていた。
「……あの、クソ担任……ッ!!」
爆豪はスマホをベッドに叩きつけた。
自分たちが知らぬ裏で、あの男はとっくに彼女を手中に入れていたのだ。
ライングループの喧騒を他所に、彼女は愛する夫の苗字を背負い、数週間後に控えた相澤の隣に立つ瞬間を、心待ちにしていたーー。