第11章 純白の境界線 【ヒロアカ 爆豪vs轟vs相澤】
は熱を帯びた瞳で彼を見上げ、縋るようにその首に腕を回した。
「また、お髭剃った顔……見たいな。すごく素敵だったもん」
「……また今度な」
相澤は短く答えると、甘えるようなの唇を深いキスで塞いだ。
絡み合う舌に重なる吐息。
蕩けるような口づけにが意識を奪われ、完全に脱力している間――相澤は彼女の左手をそっと取り、細い指に冷たい「それ」を滑り込ませた。
「……あ、……え?」
キスの合間、指先に感じた異物感にが視線を落とす。
そこには、朝日に反射してキラリと輝く、シンプルなプラチナの指輪が嵌められていた。
「……消太、くん……これ……っ」
「……バレンタインのお返しな。今日ホワイトデーだろ?……卒業したら、結婚しよう。もう誰にも、指一本触れさせたくない」
相澤の左目が真っ直ぐに彼女を射抜く。
それは教師としてではなく、一人の男としての執着と独占に満ちた言葉だった。
「……っ、……あ、……ぅ、……ぅああッ……」
の目から、大粒の涙が溢れ出した。
昨夜の事も、これまで乗り越えてきた数々の困難も、すべてがこの一瞬の幸福のためにあったのだと確信する。
は泣きじゃくりながら、彼の胸に顔を埋めて何度も何度も頷いた。
「うん、……っ、…うん…っ! 私、消太くんのお嫁さんになる……っ!!」
相澤は愛おしそうに彼女を抱きしめ、その耳元で「愛してる」と、愛の誓いを囁いた。
卒業式までの残りわずかな期間。
校則を重んじる相澤の提案で、はその指輪を細い銀のチェーンに通し、ネックレスとして身につけることにした。
制服の下、肌身離さず胸元に隠されたその重み。
それは、昨夜つけられたどんなキスマークよりも深く、強く、彼女が相澤のものであることを証明し続けていた。
誰にも言えない、二人だけの秘密の約束。
桜の舞う季節が来れば、この重みは再び彼女の左手の薬指に戻り、永遠にその場所を離れることはないのだろうーー。